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2021/05/26 22:00

「あっちは今朝開口なったんだって」「あら早いこどー」

「今年の身入りはどうだ?」「まずまずだなー」
南三陸町では、ゴールデンウイークを過ぎると、あちこちでこんな会話が繰り広げられます。

なんの話かって?そう、うにです。

天然資源であるうには、開口日とよばれる漁をしていい日が決められており、たとえ漁業権を持っていても、その日以外に勝手に獲ることは許されません。開口日は、シーズンである5〜8月の間で、わずか数回。それも、あらかじめ決められているわけではなく、地区ごとに天候やうにの身の入り具合を見て漁協が決定し、前日に防災無線(町内放送のようなもの)で知らされます。貴重なチャンスであるうえに、いつ開くか(開口になることを地元ではこう呼びます)わからないため、漁師さんたちは他の地区の様子をうかがいながら、その日を待つのです。

そして開口日の知らせが来ると、浜は一気にせわしなくなります。
早朝から船を出し、よ〜いドンで獲り始め(獲り始める時間、獲り終わる時間、船に乗れる人数まで細かく決められています)、バンジョーと呼ばれるカゴいっぱいに獲ってきた殻うにを家族総出でむくのが、開口の日の浜の光景です。
この、うにむきがまた根気のいる作業なんです。まずはうにの口の部分からハサミを入れてくり抜くようにして割り、ピンセットで黒いワタを取り除きます。次にスプーンやゴムのへらで、形を崩さないように丁寧に身を殻から取り外します。その身についた細い管のようなものを取って、ようやく1粒のうにが完成です。1kgの殻うにも、むき身にするとわずか120g。

「いっぺー獲るのはいいんだけど、むくのがやんだくなる(嫌になる)やー」
と、漁師さんがちょっと得意げに言うのも、よく聞くセリフです。

そして、むきたての生うにを遠くに住む家族や親戚に送ろうと、宅急便の配送センターに発泡スチロールの箱を持った人の行列ができるのも、開口の日のいつもの光景。

ああ、なぜ人はそんなにうにに駆り立てられるのでしょうか。

理由はシンプル、美味しいから。

だって、漁師さんは知っているのです。
うには鮮度が命。
バンジョーに座ってうにをむきながら、身が崩れたやつをちゅっと食べる、その味が一番美味しいんだもの。
だからその味を大事な人に食べさせたくって、船から降りたらすぐむき始めて、粒が大きくて形のきれいなものだけケースに入れて、その日のうちに送るのです。
そして、「今年も美味しかったよ、ありがとう!」
「うちの子、おじいちゃんの獲ってきたうにしか食べないって言うのよ」
って言われるのが喜びなのです。

今回の南三陸BOXは生うに丼!

南三陸BOXでも、この産地ならではの味をお届けしたいと考えてきました。
しかし、いつ開口になるかわからないうにを、生のままお届けするというのは、非常にハードルが高いものでした。
それがついに!南三陸町の水産加工会社である「カネキ吉田商店」さんにご協力いただき、メーカー直送で、新鮮なうにをむいたその日にお送りできることになったのです!カネキ吉田商店さんでは、特別に水揚げを許可されたダイバーさんと契約しているため、開口の日に限らずうにを仕入れることができます。普段はスーパーや食品商社への卸を中心に販売されているため、ご家庭に直接お届けすることはほとんどないので、この加工の美しさ、この鮮度を味わえるのは貴重です!
しかもこだわりの無添加。まさに産地でしか味わえない、自然本来のうにの味です。
ぜひこの機会にご家庭で味わってみてはいかがでしょうか?




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